『香環12ヶ月』2007作品展より

kaijyo

今年一年間のいろいろな思いを環形にさせていただきました。 今回、御香は、香司の皆様に製作していただき、各月の香りを私なりのイメージとして表現してみました。小物入れの蓋を開けて、香りを楽しみながら、ご覧いただければと思います。 今年もご協力いただいた皆様、また応援してくださった方々、手伝ってくれた家族に深く感謝します。そして、今年も会場プランニングは母がおこなっています。Thank you!



  ga

リースは『賀(が)』という名です。この言葉には祝うという意味があり、また還暦から始まる長寿の祝いを「賀寿」というそうですが、六十年の「環暦」と奇しくも関わりのある言葉が一月となりました。白、黒、金の三色をテーマにし、松重ねの帯を意識して製作。
賀には、はじまりという意味もあります。


 ga

合わせ香:黒方(くろぽう) 豊田昌子製作
 六種の薫物 薫物(古典調合)のうち
 祝い事のときに焚かれる香



ume

リースの名にした『梅』は不思議な木です。梅園を通るとき、その花はまるで人が見やすいように、下に向かってひらき、またその樹形は、まるで杯を模しているように広がっているのです。一年のうちで、一番寒いといわれる如月に甘いチョコレートと梅杯で心暖まる時を過ごしてみてください。

ume  ume

 合わせ香:チョコ香 苅込千枝子製作
 バレンタインのおくりもの


sakura 

   願わくば花の下にて春死なむ
      その如月の望月の頃
西行法師の有名な歌です。如月の望月の翌日、その生涯を閉じた彼は、ほぼ願いの通りの旅立ちだったようです。このリースの名である『桜』には、うららかな春の穏やかさと人の魂を魅了する不思議な力とが混在してあるようです。

sakura sakura

  合わせ香:桜の香 苅込千枝子製作
  春うらら


hinoki

リースの題は『桧』。スサノオの神話の時代から建材として使用されていたようです。また、古代では桧などの常緑樹を髪にさすと樹木の霊力が与えられると考えられていたようです。この作品は、枝ひとつひとつをリース台にとめて作りました。
神聖な枝を髪にとめていくように

hinoki hinoki

 合わせ香:ひのき 永井ケイ子製作
 新緑の香り


kaoru

ラベンダーを使ったこの作品は、偶然にも光源氏の薫君が5月生まれだったことを知らずに名を冠しました。薫は生まれたときから芳香を帯びていたといわれています。男子の祝い、端午の節句の5月は風香る五月といいます。
一年の中で最も生命の力を感じる薫香の月。

kaoru kaoru

  合わせ香:薬玉 長谷川弘江製作
  端午の節句の香り


sizuku

ガラスの『雫』を合わせて、雨上がりのその時を表現しました。環(リース)には雨の雫が滴っています。雫という言葉に似合うのは、涙、月などの陰的なのものがよいように思いますが、「雫」の一言で陰の世界が前向きな世界へと変化していくようです。
梅雨は、雨上がりの一瞬の陽光を待つ時のためにあるのかもしれないですね。

 合わせ香:雨上がり 豊田昌子製作
 うっとうしい雨があがった後に聞ける香


kirameki kirameki

この作品は羊飼いが草原で満点の星空を寝転びながら眺めるというスチュエーションから始めました。煌めきは、ファンという音を持っています。星と煌めき=スターとファン。七月の星空には無限の可能性を感じます。
ー 井の中の蛙 されど天の広さを知る ー 

  合わせ香:煌星 豊田昌子製作
  キラキラした男性


has

蓮の音はレン。連なる花です。泥の中から白い可憐な花を咲かせる蓮は陰陽の姿そのものです。今回は、蓮の6つの姿をひとつの『環』として表現しています。そしてこの環は永遠なる「時」でもあります。蓮という植物は、奥深い何かを私に与えてくれる存在となっています。永遠に連なる蓮。

ren ren ren ren
 合わせ香:ロータス 長谷川弘江製作
 蓮の香り


hana

菊花をイメージして、『華』はなやぎとしました。菊のお節句を重陽の節句といいますが、陽の極である九が重なる九月九日をお祝いする日。春のさくら、秋は菊。この菊が天皇家の御紋となったのは、後鳥羽上皇が家紋とした頃からだったようです。花言葉は「高貴」そして、万葉集には登場していない花でもあります。

hana hana

hana

  合わせ香:菊花 長谷川弘江製作
  重陽の節句の香


soo

神の月(神無月)の十月の風をイメージしてリースの名としました。古代では「な」という言葉は「の」を意味し、神の居ない月ではなく、「神の月」が正解との説があります。合わせ香の「追い風用意」は、通り過ぎた後に香りを残すため、衣服に香を焚きしめることを意味してようで、リースにも布を配して『爽』としました。

soo soo
 合わせ香:追い風用意 苅込千枝子製作
 古典の香



joo

十一月はハーベストの季節。収穫祭を祝うこの時期の文字はやはり『穣』。収穫という意味もありますし、みのる、ゆたかという読み方もありますが、ここでは『いのる』にしたいと思います。豊かさを祈り、自然のみのりに感謝する神楽月。
神楽を奉納し、天地にたくさんの恵みを。

joo joo

joo 

合わせ香:ポマンダー 長谷川弘江製作
魔除けの香


kiwametuki

この作品を作るとき、京都の三十三間堂の千手観音をイメージしました。場の静けさを思い、師走の忙しさが一段落した除夜の鐘を聴く前の一瞬の静寂を切り取りました。リース名は「きわめつき」になりました。
 静寂なる極月

kiwame 
  合わせ香:聖夜 海老名恵子製作
  乳香のインセンス


kaijyo kaijyo

mallowshouse.com主宰  太田久美子

お香協力 ありす様
Copyright 2007-2008 Mallowshouse all rights reseved