『plant planet and Luna』2006作品展より

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今年のテーマは、惑星と月。このテーマとなった言葉のイメージは、 実は、ずっと以前から私の中にありました。 最初のイメージは、学生時代に友人から教えてもらった言葉。
  井の中の 蛙 大海を知らず
友人は、井の中の蛙までは有名だけど、中国ではその続きが有るんだよ、と教えてくれました。
  井の中の 蛙 大海を知らず、   されど 天の広さを知る。
その当時、この言葉の意味もわからず、でも心にずっと響くような音でした。


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右から水星、金星、海王星(2006.1製作)

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木星(2006.1製作)


 数十年がたち、ある本を図書館で見つけました。「リラックスのしかた」(マイク・ジョージ著)の中にあった小さな『ウパニシャッド』の引用文。   心のなかの   小さな空間が、   広大な宇宙にも   劣らない広さを   擁している。(ウパニシャッド紀元前800年頃)

 
この文には、井の中の蛙のイメージを想起させるものがあったのです。 インドの古い伝承のなかのイメージが、緩やかな流れとなってアジアの大陸につながっていくのだな、 と思います。井戸と心。 人の心の無限となれる宇宙。

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 そして、ホルスト組曲(惑星)作品32。 宇宙の中にある太陽を取り巻く惑星に思いを止めた時、ホルストの『惑星』が浮かびました。 ホルストは地球と冥王星以外の7つの惑星の組曲を書いていますが、 わたしは香のある惑星として地球も登場させています。
さてホルストは、この惑星の作曲にとりかかる前に、 占星術について教えを受けていました。
その結果生み出されたのが組曲『惑星』であると伝えられています。
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火 星(闘争心を人に与え戦争をももたらす軍神マルスのイメージ)
金 星(美の女神ヴィーナスの星。平和と美しさの象徴)
水 星(学問を好み知性豊かであるが優柔不断で落ち着きがない)  
木 星(ローマ神話の主神ジュピターのイメージ。威風堂々として、王者の貫禄を示しているが快楽を貪る傾向を持つ)
土 星(人に対して冷徹で陰気な性格)  
天王星(創意とひらめきの星だが何事にも固執しすぎる傾向を持つ)
海王星(女性からの影響が強く、気分を上下させる)  
 ホルストはこれらの占星術的テーマを参考にはしているものの、 それにとらわれることなく、自分の感じたままを作ったと言っています。

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冥王星(2006.2製作)
※はからずも惑星ではなくなりました。ホルストの時代はまだ見つかってなかった星です

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天王星(2006.1製作)

昨年マスコミでとりあげられた柳沢桂子さんの 『生きて死ぬ智慧』も作品のなかのイメージとなっています。


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plant planet(2006.2製作)


 お聞きなさい   あなたも 宇宙のなかで   粒子でできています   宇宙のなかの   他の粒子と一つづきです(柳沢桂子さん/生きて死ぬ智慧より)
心も宇宙のちいさな粒子なのかもしれないのです。 そして他の粒子と一つづきかもしれなのです

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 さて、惑星の他にも主役がいます。それは、月です。
作品は、上弦、下弦、満月、新月の表情を切りとりました。月にはMoonの他にLunaとも書きます。このLunaには狂気という言葉もあるように、月と人の情緒は深いつながりがあるのだそうです。 とくに女性のイメージが強い月。 手作りの口紅やファンデーションなどで、女性と月を意識してみました。

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一人でどこまでできるかという不安のなかで自分の心と向き合う時間が続きました。 この時間、思いのほか楽しく、次から次へ形が作られていく様でした。


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心と宇宙。 今回、自分なりの作品となったと思っています。
最後に、この場を提供して下さった公園センターの皆様、 イメージにあう材料の協力をいただいた夢屋さん。 材料をくださった大泉さん。
会場デザインを手伝ってれた母。 家族、また心よりの応援をくれた友人たちに感謝します。 そして、見に来ていただいた皆様、本当にありがとうございます。 2006.11/8 ホームページにてあらためてお礼いたします。

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mallowshouse.com主宰  太田久美子
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